インフラを護るということ。

大震災以降、危機的な状況が続いている原発についてですが。
なんというか、種類は違えどインフラを護る者としては複雑な思いがあるわけで。


一時期、割と本気で東電の発電所を見学させて欲しいと思ったことがありまして、問い合わせまでしたことがありました。
その時は電力というインフラに対して、絶対的な安心感と尊敬があり、ネットワークというインフラを護る私が学ぶことは多いんだろうなぁ、と思っていたのです。
特に障害発生時におけるマニュアルの整備や体制の取り方等々については、本当に知りたいと思っていました。


ですが、そんな思いは今回の件で砕かれてしまいました。


正確な情報がふんだんにあるわけではないですが、色々と見ている中で感じているのは、何かを前提とした対応策というのは、それなりにリスクがあるということ、です。
ITインフラにおいても障害対応策は立てますが、やはり何か前提があるんですよね。
例えば、RAID5なサーバにおいてディスクの2本同時の障害は発生しないものとする、等々。
でも、IT屋の発想だと、こういった前提って顧客と合意を取って契約に盛り込んじゃえばいいじゃん、なんですよね。
あくまでコスト見合いでシステム構成や運用時の体制は決定されるもので、それは顧客と合意して決定すべき、と。


でも、これはIT屋だからできることで、電力会社はそういうことはできないはずなんです。
原発の半径30km以内に住む方々に対して、現状想定している津波よりも大きな津波が来たら、その時は放射性物質が外部に漏れて、しばらく住むことができなくなる、なんてことは言えないでしょうし、またこれまでそんなことは言っていないはずです。


となると、電力会社がやれることは、何かを前提とした対策を立てるのではなく、網羅的に障害対策を行なうということ。
そしてこれは相当難しいことです。
でも、東京電力がやれることはあったんじゃないかな、と。


まあ、過ぎたことをどうこう言っても今この状況がどうにかなるわけではないのですが、日本各地には稼動中の様々な発電所があり、その中には原子力発電所もありますので、それらで同様もしくはもっとひどいことが発生しないよう、各電力会社及び関係機関には取り組んでもらいたいものです。